ナースママの徒然草

看護師歴8年、2020年11月出産予定のプレママです。自分の経験を発信していきます。

回復期リハビリテーション病棟での経験

私は看護師になって8年目になりますが、いままでに呼吸器内科・循環器内科・回復期リハビリテーション科で働いてきました。

どの科での経験も私にとっては大切なものなのですが、回復期リハビリテーション

の看護師の役割が他の科と少し違うと感じたのでまとめてみようと思います。

 

まず、回復期リハビリテーション科の特殊なところは

1、入院期間が事前に決まっている

2、病気の治療をするために入院しているわけではない

3、医療的なアプローチより、身体的なアプローチのほうが多い

4、ゴールの設定が難しい(医療者と患者さんでずれることが多い印象)

5、一般病棟より多職種との連携が必要

6、安全管理が難しい

ということです。

 

まず、回復期リハビリテーションと聞いてどんなイメージがありますか?

私は働くまでどんなところなのか全く想像がつかなかったです。

なぜなら、入院の流れが違うから。

回復期リハビリテーション科(以下:回復期リハと略します)は病気の治療を終えた上で身体的に障害があり生活が困難となりリハビリが必要だと判断された場合にしか行けません。しかも、入院できる疾患も制限があります。なので、条件に当てはまらない人はそもそも入院できないんです。

入院期間が決まっているというのは、下記のように対象疾患によって最大の入院期間が最初から決まってます。つまり、タイムリミット付きの入院というわけです。

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期間が決まっているリハビリのためだけの入院なので、大前提として状態は落ち着いていますが、様々なリスクはあるので入院中に体調が悪くなったり急変したりすることもあるので医療行為は全くないわけではありませんが一般病棟よりは少ないと思います。

その代わり、自分のことを全部できる人は少ないので身体的なサポートが必要な人がほとんどです。

 

例えば、骨折や脳梗塞等による麻痺のため手足が自由に動かないので着替えや食事、トイレの手伝いなど介助が必要です。また、体は動くけど病気により話が出来なくなったり食べることが出来なくなる方がいます。

そこで登場するのが、登場するのが理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語療法士(ST)・栄養士の方々です。

一般病棟では自分から連絡しない限りあまり関わることが無かったどころか病棟にいるのもほとんど。見たことがなかった私…。(病棟で関わるのはほぼ医師・薬剤師・社会福祉士でした。)

そして、患者さんによって性格もリハビリの進み具合も身体能力も痛みの感じ方も全部違うのと、病気の治療とは違い決まった治療方法があるわけではありません。なので、患者さんのリハビリの目標だったり方向性だったりみんな考えていることが実は全然違うとかもありえるのと患者さん自身が理解していないと混乱を招く元になるので連携はかなり必要でした。

 

なにより私が一般病棟と違うと感じたのは、自分で出来ないことを退院までに工夫したり訓練してできるようにすることが目標になるため、患者さんに積極的にチャレンジしてもらうこと。当たり前のことなんですが、一般病棟では命が第一・安全第一なので基本的にはちょっとでも危ないことは基本的にさせません。ある意味これが回復期リハの醍醐味であり本当に怖いんです。

・上手に歩けない人に、積極的に歩いてもらう。

・ごはんが自分で食べれない人に、自分で食べてもらう。

色んな職種の人同士で何度も相談して練習して方法や道具の選別もした上で大丈夫だろうと判断した上でもちろん行いますが、転んだり窒息したりけがをしたりするリスクはかなり高いです。そして、患者さんの体格もかなり大柄な方から小柄な方まで様々です。看護師はまだまだ女性が多いので、マンパワー不足の中で安全第一を考えながらチャレンジすることは結構怖いです。なので、安全管理がなにより重要になってきます。

 

ここまでは回復期リハの説明になります。

ここから先は、看護師として私が個人的に難しいと感じたことです。

 

患者さんの年齢が若ければ若いほど、そして障害が重ければ重いほど現実と向き合うのが辛い。

これは、家族はもちろんそうですが医療者も感じます。特に、不慮の事故だったり突然元気だった人が突発性の病気で倒れて寝たきりになってしまったみたいな症例の場合、本人が若ければ家族も若いので本当に辛そうでした。どの患者さんもリハビリをすれば元気に元の状態になって帰れたらいいなと思いますが、実際そういうわけではないです。職業柄現実を伝えないといけないことも分かっていますがドラマのような奇跡を信じたくなることもあります。マンパワー不足と言えど、自分の勤務時間の中で最大限できることはしてあげたいと思うし、通常の治療でダメなら色んな文献をみて似たような症例を探すこともありました。

医療者的には劇的に回復したと思っても、家族の理想と違う事も多々あります。そうなってくると、医療者と家族・本人の中で感情の温度差がどんどん出てきます。そのまま退院の日を迎えたとしても、私たちはそこでお別れになるけど本人・家族は一生障害と向き合っていかなければなりません。

 

私は、みんな元気になって帰っていく病棟っていいなと思って転職する際に回復期リハを選びました。ほとんどがそうなりますが、時折上記のような症例を見たとき病気との向き合い方とはまた違う、そして治療するにも障害は病気ではないので明確な治療方法が無いってなんて残酷なんだろうと思ってしまいました。

 

そして、回復期リハ病棟での看護師として働く意味って何なんだろう。私ができることって何なんだろうって改めて今までの看護師としての経験や価値観をもう一度振り返るきっかけになりました。