ナースママの徒然草

看護師歴8年、2020年11月出産予定のプレママです。自分の経験を発信していきます。

実習の思い出 終末期について考える

アンサング・シンデレラの8話で終末期について描かれていたのを見て、私も学生時代や看護師になってから見送ってきた色んな方々を思い出しました。

 

実習で、終末期(ターミナル期ともいいます。命の最期を迎える期間のことを指します。)の患者さんを受け持ったことがありました。

 

その時の私は3年生で、看護学校に入学したばかりの頃よりはある程度知識もついてきて実習にも慣れてきている頃でしたがただの学生であることには変わりありません。

親族の死に目も見たことが無ければ、物心がついてからお葬式に出ることもありませんでした。

そんな私が、もうすぐ亡くなるかもしれない患者さんに初めて会ったときは純粋に怖いと思いました。怖いというのは、患者さんに対してではなく死を連想したからです。

生きていて、話をすることはかろうじて出来るけど病気の関係で意識ははっきりしていない。自分で動くことは出来ない。目は開いているけど、視線は合わない時も多い。

いくら実習で患者さんと話をするのが好きだと思っていた私でも、どう接していいのかわかりませんでした。

 

そんな時、ご家族から家に愛犬がいて入院したばかりの時は本人はその子に会いたがっていたという話を聞きました。本人は入院当初はすぐに退院できると思っていたが、数か月で病状が急激に悪化して今の状態になってしまったので愛犬には会えていない。心残りが無いように会わせてあげたいとご家族は話をしていました。

 

学生の私は、話を聞きながら愛犬に会わせてあげたい気持ちはあるがどうしていいのかさっぱりわからず。先生や指導者さんに報告の際にその話をしたところ、「会わせましょう!」と言うのです。当時の私は絶対無理だと言われると思っていたので目が点になりました。

そんなことできるの?って当時は思いましたが、看護師さんや主治医など色んな職種の人たちが協力して結果的に本人は愛犬に会うことが出来ました。病室では意識が朦朧として会話もままならなかった患者さんが、愛犬を見た目に力が戻って涙を流して愛犬の名前を呼ぶんです。その時は、その場にいた先生や学生、看護師さん、家族全員で感動して泣きました。

終末期は死をただ待つだけじゃなくて、やりたいことやしてあげたいことを叶えてもいいんだとその時思いました。

 

 

実習で素敵な経験をしたとしても、いざ看護師になると学生の頃とはまた違う立場になので新人看護師の頃は、亡くなった人を目の当たりにすることに対して恐怖しかなかった時期もありました。

その時先輩は「人生の最期に立ち会えることはすごく貴重なことだと思う。だから

、ちゃんと見送ってあげよう。」と声をかけてくれました。

 

゛終末期(ターミナル)゛や゛死゛という言葉には何となくマイナスの暗いイメージを感じます。でも、明るく見送ったっていいじゃないかと思います。むしろ、家族も本人も暗く悲しく最期を待つよりできるだけ明るい気持ちでいて欲しいと思います。

そのためには、本人はもちろん家族の気持ちも受け止める必要があります。

 

アンサング・シンデレラの中で「家族を支えることが大切」というシーンがあったかと思います。これを看護師の中では゛家族看護゛という表現をします。

患者さんは自分のことなので、受け入れられない方もいれば早い段階で受け入れる方もいます。でも、ご家族は残される立場なので最後まで受け入れられない方が多い印象です。今まで自分の家族を看取った経験がある方ってあまりいないと思います。初めてのことはみんな不安で怖いんですよね。そんな思いを抱えている家族を支えることも、看護師の仕事の1つでもあります。

 

看護師として働いていた時、今の思いや不安なことを聞くことやこれからの経過を知ってもらうことを私は心がけていました。

少しでも理解して受け入れてもらった上で、叶えたいことを一緒に叶えられるように最大限協力することが看護師の喜びなのかなと思います。

 

職業病なのか、結婚してから特に両親や旦那さんとの終末期について考えることも多いですが、悲しすぎて今はまだ考えられませんでした。

でも、漠然と家族の最期の時は自分が後悔しないように最後まで一緒にいたいなとは思っています。

いまは終活という言葉もあります。いい意味で、元気なうちに素敵な終末期の過ごし方を家族と考える時間があってもいいのかなと思いました。